前世で魔王に殺された聖女ですが、ごく平凡な一般人に生まれ変わっても魔王に捕まりました。なんか用ですか?
サラはベッドに座り、頭を抱えた。あからさまに落ち込む。また泣きそうだ。

床を見ていた。

「きゃぁぁ――!!」
「サラ?」

サラは魔王に抱きついた。

「どうした?」
「Gよ! 銀のG!」

足元を銀色のゴキブリが通ったのだ。銀のGはかなり素早い。

「虫か」
「ここに住むのはもう無理! 引っ越しましょう!」
「ここより良い牢屋は無いぞ」
「じゃあ退治して? お願い」
「どこへ行ったのかわからない」

魔王がベッドを持ち上げるとGが出てきた。

「きゃぁぁ――!! いや――!!」

サラはしゃがんでいる魔王の顔に思いっきり胸を押し付ける。
混乱するサラ。

「早く退治して!!」
「いや、見えない」

サラが押したつけた胸で見えないようだ。
サラは魔王の背中に回り込んだ。

「どこ行った?」
「無理! わからない、無理!」
「風呂場を見るからそこにいてくれ」

しばらくして物音がした。氷柱の先にGを刺して魔王が出てきた。自主規制ものだろう。

「いやぁ――、早く捨てて!」

魔王が部屋を出る。鍵はしっかりかけているようだ。

「はあ、疲れるわ」

魔王がブツを片付けて戻ってくる。

「水飲むか」

コップに水を注いで来てくれた。

「ありがとう」

自然とお礼をしてしまった。人としては正解だろう。

「お礼は何をしてくれる?」
「えっ? お礼……そんな約束した?」

サラはとぼけるしかない。これ以上つけ込まれたくない。

「約束はしていないが」

じっと見つめてくる。

サラも魔王の目を見て答える。

「ありがとう」

魔王は顔を近づけてくる。サラは人さし指で唇を押さえる。ぶりっ子を発動させた。

「だーめ」
「5ヶ月22日後か?」
「もっと延びないのかしら、その期間」
「だめだ」

サラは首を傾げた。

「それ以上は我慢できない」

魔王はサラを押し倒した。

「……欲しい」

両手を塞がれ、体重をかけられて今までのお遊びモードとは違うみたいだ。サラの顔に熱が集まる。

「サラ」
「約束は、守って、お願い」

サラは目をつむって懇願する。魔王はサラの胸に顔を埋めた。長い息を吐く。

(助かった)
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