『人妻の過去』
『待ってる』−−−と言った哲平の声が、脳裏をかすめる…


アタシは頭を振ってその言葉を掻き消した。


あきな;アタシ…仁君のこと好きになったみたい…


仁;ぅん…俺も…あきなのこと、好きだよ。
でも…俺、あきなを幸せに出来ないと思う。きっと沢山泣かせるし。後悔させると思うんだ…


うん…うん…とアタシは声を出せずに頷く。


仁;俺なりに幸せにする努力は…しようと思う…。それでも良かったら、俺と付き合って…!!!


あきな;充分だよ…。よろしくお願いします。




−−−こんな。
普通に有り得ない告白から、
アタシ達は付き合い出したんだよね…


あの頃のアタシは…
仁君にそう言って貰えただけで舞い上がってて…



よくよく考えたら…
アタシが泣いた日々も、
悩んだ日々も、

アタシがあの日、受け入れたんだから…

仁君は何一つ,嘘はついていない。

アタシが勝手に仁君を選んだんだから…






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