大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 二人の娘と愛する妻に囲まれてデレデレしているように見える父親だが、やるときはやることをセシリアも知っている。
 フェルトンで砂糖製造が始まったのは、ケアード公爵が技術者や職人を集め、工場や専用の魔法具を迅速に整えたおかげだ。彼らが協力したのも、公爵への信頼があったからこそ。
「今のところ、国内については信頼できる人たちと取引しておりますので、問題ありません。彼らのおかげで砂糖もじわじわと周知されつつありますし、こうやって砂糖を求めてフェルトンを訪れる者も増えているのです」
 セシリアたちがフェルトンの街に来たときは、この大通りもどこか寂しげな感じをしていた。観光のためにフェルトンを訪れる者もいない。
 しかし今では、見慣れぬ者も街の中を歩いているし、そんな彼らは明らかにフェルトンの街の人間ではない。
 彼らの目的は砂糖。もしくはそれらを使った菓子類など。
 このように砂糖が広まったのも、ケアード公爵が伝手を使って口コミで広めてもらった結果でもある。
 外部から人が来れば、彼らが寝泊まりするような場所も必要であり、もちろん食事も提供しなければならない。
 客が減って閉まっていた宿も再開し、食堂や酒場だってにぎやかさに溢れている。特に夕方になれば、工場で仕事を終えた人たちが、空かせたお腹を満たすためにどどっとやってくる。

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