大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 最後に工場の責任者に挨拶をする。責任者も商会に所属しており、以前は日用品を扱う商人だった。しかし、年々売り上げが減少する中、今後の方向性に悩んでいたところに、今回の砂糖製造の話が舞い込んできた。
 ボリスを中心に商会の仲間が集まり、砂糖事業に参加したい人たちの意見を一人一人丁寧に聞いてくれた。その意見を集約したものがエレノアに届けられ、彼女は各人の能力や状況に応じて仕事を割り振った。
 工場は順調に稼働しているが、生産量を増やすには工場の拡張が必要だ。フェルトンの街に人を呼び込むことも検討したが、街の広さや住居の問題を考えると、別の場所に新たな拠点を作る方が合理的だと結論づけた。
 それでも、エレノアがロックウェル王国に行くという話は、セシリアにとって寝耳に水だった。その衝撃が全身を駆け巡り、足に力が入らなくなる。
「セシリア様……?」
 従者の真似事をしているシオンが、心配そうに顔を覗き込んできた。それでもセシリアはぼんやりとしたままだった。
「きっと、わたくしがロックウェルに行くと言ったからよね。ごめんなさい、セシリア。この話は帰ってからゆっくり話しましょう」
 否定しないということは、その場かぎりのハッタリではないということだ。エレノアは本気でロックウェルに行くつもりなのだ。
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