大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「こちらは問題ないわよ? 工場の稼働も安定しているし、工場長も商会長もいるしね。さとうきび畑にはモリスだっているでしょう? だから何も心配はないわ」
「……でも、セシリアは、お姉さまと離れたくありません!」
 勝手に出てくる涙を堪えようとすると、鼻の奥がツンと痛む。
「ええ、だったらセシリアも一緒に行く? どうしようか悩んでいたのだけれど」
「へ?」
 驚きのあまり、こぼれそうになった涙はぎりぎりのところで踏みとどまる。
「だって、指導といっても一年も二年もいるわけではないもの。大事なことを伝えれば、あとは他の職人がなんとかしてくれるでしょう? 長くても十日くらいかしら? それに、ロックウェルでの工場が稼働するまでは、まだまだ時間もかかるしね。それまではこちらに来てもらって、技術を習得してもらおうと思っているの」
 セシリアは、涙がこぼれないようにと、何度もパチパチと瞬く。
「ごめんなさいね、セシリア。驚かせてしまったみたいね。でも、わたくしはロックウェルに行ってみたいの。この国から出たことがないから、やはり他にも足を運んで、知見を広めたいのよ。もちろん、セシリアも一緒にというのなら、大歓迎よ? わたくしも、あなたがいたほうが心強いもの」
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