大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
「い、行きます! セシリアもお姉さまと一緒にロックウェルに行きます」
 ケアード姉妹の話を黙って聞いていたコンスタッドは、これが絶好の機会と言わんばかりに口を開く。
「エレノア嬢、その際は、是非、我が家に滞在ください」
「考えておきます」
 エレノアの返事は早かった。
 このやりとりを見たシオンは、くすくすと笑いをこぼす。
 だがそれによって、馬車内にはやっと和やかな空気が流れ始めた。
「あ、でも。モリスはどうしますか? モリスはセシリアの魔法の先生です」
「魔法の先生ったって、四六時中べったりしているわけではないだろ? 少しくらい、離れたっていいんじゃないのか?」
 シオンが言うように、モリスはセシリアにべったりとくっついているわけではない。何よりも、昼前は寝ている。
 だから気まぐれに「火をつけて」「土を掘って」「花を揺らして」「水を凍らせて」と、そんなことを言ってくる。これらは生活魔法だ。通りすがりの精霊の力を借りる魔法。
 それでもすぐにセシリアが魔法を使えないでいると、モリスが口の中で何かを呟くだけで、その魔法が発動する。そしてその一連の流れの繰り返し。
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