大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 扉をノックしてから父親の執務室に入るものの、セシリアの心は少しだけドキドキとしていた。
 エレノアが父親から呼び出された。となれば、きっとジェラルドとの婚約解消――破棄の件だろう。だがそうだとしたら予定より少し早い。
「なんだ。セシリアも一緒なのか」
 セシリアの姿を見つけた父が、開口一番そう言った。
「お父様。セシリアには聞かせられないようなお話を、わたくしにするおつもりですか?」
 エレノアの口調は怒っているものではない。ほんのりと口角をあげ、冗談めいたもの。
「いや、そうではないのだが……。まぁ、座りなさい」
 父親の歯切れがなんとなく悪い気がする。
 それでも促されたソファにエレノアとセシリアは並んで腰を下ろした。目の前には両親が座っているものの、母親の目はどことなく憂いている。となれば、エレノアにとっては良くない話なのだ。
「ジェラルド殿下との婚約の件だ。婚約解消の手続きに必要な書類が送られてきたのだが……」
 やはりエレノアにとっては良くない話――王太子ジェラルドとの婚約解消の件だった。
< 29 / 231 >

この作品をシェア

pagetop