大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 額に光った汗をぬぐった父親は、してやったり顔でセシリアを見つめてくる。先ほどのふらつきはどこにいったのだろうか。
「さとうきびの味見をしてください。だけど、さとうきびは食べ物だけど食べ物ではないので……」
 セシリアの小さな手でも掴める長さに切ったさとうきびを一本、手にとった。
「ええと、この皮を剥いて、ここの白いところを噛むと、汁が出てきます。でも食べられませんので、噛んで汁を出すだけです」
 すかさずケビンがやってきて「こうですか?」と言いながら、さとうきびの皮を剥いてくれた。すると中から白い繊維の塊が出てくる。
 両親もエレノアもケビンも、固唾を飲んでセシリアの様子を見守っていた。
 セシリアはそれを口に入れて吸ってみせる。ちゅぅと大きく音を立てて吸ったセシリアは「あま~い」と声をあげた。
「お姉さまも食べてみてください。この汁が砂糖の素になります」
 ケビンが外皮を剥いたさとうきびを、ケアード公爵夫妻とエレノアに手渡す。三人とも、セシリアがやったようにさとうきびを口に含んだ。そして遅れてケビンも。
「んっ!」
 父親が目を見開いて唸る。
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