大好きなお姉さまが悪役令嬢?!処刑回避のためにひきこもったら、隣国の王子に狙われているようです?
 お仕着せ姿の女性が、強張った表情で姿を現したが、セシリアの姿を見るとニコリと笑ってくれた。だからセシリアも同じように微笑み返す。
「お待ちしておりました。ご案内いたします」
 彼女の雰囲気が、一瞬でぐっとやわらかくなる。
 商会館は建物の中も白かった。真っ白というよりはクリーム色。天井も壁も、そして床も同じ色で統一されている。
 エントランスは吹き抜けになっており、二階に続く螺旋階段は屋根と同じ赤色だが、少しだけ暗く落ち着いた赤だった。エントランスの突き当たりには左右に分かれる廊下が見えた。
 商会長は二階の会長室にいるとのことで、螺旋階段をのぼっていく。
「足元にお気をつけください」
 案内していた彼女は、ひょこひょこと歩くセシリアにそう声をかけた。
「セシリア。ぴょんぴょん跳ねないで、きちんと歩きなさい」
 いつもと違う場所が楽しくて、それが足取りに出ていたのかもしれない。
 見かねたエレノアが小さな声でビシッと注意して、セシリアと手を繋ぐ。
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