隠れる夜の月
やがて、彼の動きがさらに速くなり、震える声で三花を呼ぶ。
「……三花、もう、俺……っ」
「うん……一緒に、イって……っ――あぁぁっ!」
「…………っ、く、うっ」
甘く溶け合い、強く手を握り合って、同時に絶頂を迎えた。
――余韻の残る中、三花は汗ばんだ身体をシーツに横たわらせる。
拓己がそっと腕を回し、肩を抱き寄せてくれた。
肌を触れ合わせると、先ほどまで重なり合っていた鼓動が、またゆっくりと寄り添った。
「これで、本当に夫婦になれたな」
「……うん。前からそうだったみたいな気もしますけど、でも……今夜はやっぱり特別、かな」
ふふ、と笑い合って、頬をすり寄せる。
拓己の肌の温度が優しく、心のずっと奥まで届いてくる気がした。
「俺の奥さんになってくれてありがとう」
「いえ、こちらこそ」
「あらためて、よろしくな」
「はい」
隙間なく抱き合う二人の間に、もう何ひとつ隠すものはない。
これからは、夫婦として、伴侶として、ひとつ屋根の下で同じ未来に進んでいく。
夜は長く静かで、朝はまだ遠い。
けれどその静けささえも、今は曇りのない幸福に包まれていた。
カーテンの隙間から見上げた夜空で、雲の切れ間に月が浮かんでいた。
「もう隠すことも、隠れることもない」と、微笑んでくれているかのように。
- 終 -


