冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「姉ちゃん」
「ん? 弓弦。なにー?」
気持が落ちていたのを悟られないよう、笑いながらドアを開ける。
そこにはお風呂上がりでさっぱりした顔の弓弦が立っていて、「ん」と小さな紙袋を私に差し出してきた。
「えっ? これなに?」
「……誕生日。には間に合わなかったけど、プレゼント」
「ええっ!?……ありがとう。いいのに、そんな」
私の誕生日は先月。弓弦はちゃんと当日におめでとうの言葉をくれたから、それで十分だった。
昔は家族全員で祝ったものだけれど、父の事件があってからは、十二月の弓弦の誕生日をクリスマスといっぺんにお祝いして、小さなケーキをふたりで食べるくらいだ。
弓弦が私に誕生日プレゼントをくれるなんて、初めて……。
胸がじーんとして受け取った袋をただ眺めていると、弓弦が照れくさそうに首の後ろをかく。
「昼飯代切り詰めて買った安モンだから、開けたらがっかりするかも」
「そんなことない。なんだって嬉しいよ……」
袋に入っていた小さな箱を取り出し、かけられていたリボンをほどく。
ふたを開けると、中から現れたのは小さな花をモチーフにしたネックレスだった。