冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
【鏡太郎さんの婚約者として過ごした日々が夢でも幻でもないことは、私の心がちゃんと覚えています。本当にシンデレラになれたみたいでしたし、おとぎ話には書いてない、大人の甘い時間のことも教えてもらったから、シンデレラ以上に幸せだったかも。ありがとう】
手紙が後半に差し掛かる。
読み終えたら本当に琴里が消えてしまいそうで、彼女がただの思い出になってしまいそうで、文字を追うのを躊躇ってしまう。
それでも彼女がくれた初めての手紙だからと、覚悟を決める。視界に映った文字が、人知れず浮かんだ涙でぼやけた。
【私の願いは、鏡太郎さんがいつまでも検事として活躍を続けることです。だからもう、ご自分の本来の職務に戻ってください。今まで負担をかけてしまって、ごめんなさい。私と弓弦はこれまで通りふたりで強く生きていきますから、お金の振り込みも必要ありません。これまで援助いただいた分もお返ししたくて、封筒に入れておきました。受け取ってください】
便箋の脇に置かれていた茶封筒を手に取ると、中には確かに何枚もの一万円札が入っていた。
新しい暮らしを始めるなら彼らだって先立つものが必要なはずなのに、俺との繋がりを完全に絶ちたかったのだろう。
〝もう十分です〟と言わんばかりの文面がやるせなかった。一番大切な相手も救えずに、なにが検事だろう。