冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

 俺が検事を志したのは、ドラマの貫太郎のように悪人を成敗したいという思いがきっかけだ。

 しかし、ドラマでは描かれないその先、罰を与えられた罪人がその後どのように反省し、のちの人生を生きていくのか。そこに想像力を及ばせるのも、検事の大切な仕事だと思うのだ。

 犯罪者を起訴してただ有罪をもぎ取ればいいというような、単純な仕事ではない。

 俺はこれからも、罪と人とを切り分け、正しい罰と更生の機会を与えるためその両方を客観的に見つめられる、そんな検事でありたい――。

「植木の息子は余罪についても洗いざらい喋ったが、明らかに見過ごせないものがひとつあった。五年前の『星影台二丁目住宅内強盗傷害事件』だ」

 検事という職務に改めて深い覚悟を抱いた次の瞬間、父の口から信じられない発言が飛び出した。

 信じられない思いで父を見つめ、慎重に問いかける。

「それは、村雨奏二という男が有罪になり、懲役七年の実刑判決が言い渡された事件のことだよな。その真犯人が、植木の息子だと……?」
「ああ。まだ自供のみだから鵜呑みにするわけにもいかないが、本人いわく、自宅に証拠があると言っている。父親にも隠しているそうだ」
「そうか……やっと……」

 琴里の悲願が叶うかもしれないと思うだけで、感情が昂る。

 しかし、喜ぶにはまだ早い。これまでも散々息子の罪を隠してきた植木は、たとえ息子が罪を認めていたとしても、その権力を全力で行使し、握りつぶしに来るだろう。

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