双子のパパは冷酷な検事~偽装の愛が真実に変わる時~

「わかったわ。ジンちゃんがそこまで言うなら、その年賀状はあげるよ」
「ありがとうございます」

 譲り受けたはがきをバッグにしまい、思い出したように烏龍茶に口をつけた。

 生気を取り戻した俺を見て、紅白婦人たちがホッとしたような顔をする。

「でも、なんだか申し訳ないね。ジンちゃんがそこまで琴里ちゃんを想っていたなら、もっと早くに居場所を教えてあげてればよかった……」
「そうね。せめてもの罪滅ぼしに、あたしたちにできることがあったら言ってちょうだい。今ならなんだってしちゃうよ」

 気持はありがたいが、彼女たちに頼みたいことは別に……。

 そう思いかけ、ふと思いつく。このふたり、意外と使えるのではないのだろうか。

「なんでも、とおっしゃいましたね」

 ふたりを見つめながら静かにそう言うと、婦人たちが緊張したように身を竦める。

「な、なによジンちゃん怖い顔しちゃって。まさか、おばちゃん相手に変な気起こしたんじゃないでしょうね」
「あたしたち、こう見えて旦那ひと筋なんだよ!」

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