冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「否定はしない。きみを探すためなら手段を選んでいる場合じゃないからな。ところで……」
「わ、私たちのことは終わったことです。今さら会いに来られたって困ります。それじゃ、私はこれで――」
「待て。そう簡単に逃がすわけないだろう」

 席を立った次の瞬間には、手首を掴まれて引き留められていた。鏡太郎さんの手のひらの熱さに、心が疼く。

「……離してください」
「そうしてほしいなら、この子たちのことを教えてくれ。開、結……このかわいい双子は、もしかして俺との――」

 核心を口にされると思った瞬間、自分でも驚くほどの馬鹿力が出て、鏡太郎さんの腕をバッとふりほどく。驚いたように目を見開いた彼に、一方的に告げる。

「子どもたちが心配なので、私は失礼します! 住所がわかったからって、もう絶対に会いに来ないでくださいね! 今から追いかけてくるのもナシです! 警察を呼びますよ!」

 大声でそう言い放つとレジまで早足で移動し、電子マネーで決済を済ませる。

 店中の視線を集めてしまっている鏡太郎さんだが、眉一つ動かさずに席を立ってこちらに来ようとしているのが見え、私は急いで店を後にした。

 この辺りの地理にもだいぶ詳しくなったので、簡単に追って来れないルートを選んで全速力で走る。

 時々後ろを振り返っては彼が追ってきていないかを確認したけれど、鏡太郎さんらしき人物の姿は見えなかった。

 警察を呼ぶと宣言したのが効いたかな……。

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