冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
一目散に帰宅し、部屋の扉を閉めるとようやく気が抜けた。
だけど、年賀状を持っていたから住所はバレている。今日はあきらめてくれたとしても、また訪ねてきてしまうかも……。
「早いじゃない琴里、もっとゆっくりしてきてよかったのに」
結を抱いた梓が、物音に気づいて玄関までやってくる。鏡太郎さんに会ってしまったとは言いづらくて、無理やり笑顔を作る。
「……うん。なんか、結局心配になって帰ってきちゃった。でもちゃんとピザ食べきたし、久々にひとりでぼうっとできた。それだけですごくリフレッシュできたよ。ありがとう」
「それならよかった。この子たちもさっきミルク飲んだし、私と弓弦くんもお弁当食べたところ。開くんは寝ちゃってる」
梓がそう言って唯のふくふくほっぺをつつくと、結は「あう~」とご機嫌な声を出した。
私がいなくなっても我が家は平和だったようでホッとする。
「遅くまでごめんね梓。すぐ手を洗って抱っこ代わるね」
「いいわよ慌てなくて。結ちゃんもっと抱っこしてたいし。ほんっとこの匂いたまんない」
梓は結のやわらかくてふわふわな髪に鼻を埋め、思い切り息を吸い込んでいる。
「わかる。私もそれよくやる」
「でしょ? 弓弦くんもやってたもん。もはや麻薬ね……」
クスクス笑いながら、開と弓弦が待っているリビングの方へ移動する。
こうして家に帰って平和な時間を過ごしていると、さっき鏡太郎さんと会ったことが夢だったかのよう。
このまま私が知らんぷりしていたら、彼もあきらめてくれないかな……。
いくらなんでもまた引っ越すというのは現実的じゃないので、その可能性に賭けるしかない。万が一彼が来てしまうようなら、きっぱりと拒絶しよう。
子どもたちのためにもそれが一番だと自分に言い聞かせるものの、その日は気を抜いたら再会した鏡太郎さんの顔が脳裏にちらついて、胸が何度も軋んだ。