冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「はい、村雨です」
『ご無沙汰しています、郡司です。週刊誌かテレビでご覧になられたかもしれませんが、お父さんの事件に進展がありました。おそらく再審も可能になるのではないかと』
「えっ……?」
『真犯人と思われる有力な容疑者が現れたんです。凶器も見つかっています』
嘘……。
突然すぎて、ずっと望んでいたことなのに現実味がない。スマホを握ったまま、呆然と立ち尽くす。
お父さんの無実が、やっと証明できるの……?
信じられない思いでゆっくり瞬きをすると、ひと筋の涙が頬を伝った。
「す、すみません、突然のことで気が動転しちゃって……」
『いえ、当然です。私も興奮のままにお電話差し上げてしまって失礼しました。気持ちが落ち着かれたら、一度お電話いただいてもよろしいでしょうか。村雨さんご家族のことはずっと気にかかっていたので、よろしければもう一度私に弁護させていただけないかと』
「郡司先生……わかりました。弟とも相談して、改めてご連絡させていただきます」
電話を切ると、濡れた頬を手のひらで拭った。
弓弦や梓、それに天国の母。報告したい人はたくさんいるけれど、思わず心の中で呼びかけた相手は、家族でも親友でもなかった。
ねえ、鏡太郎さん。父の再審が、ようやく叶いそうだよ……。
お父さんは、村雨奏二は犯罪者じゃないって、みんなにわかってもらえる。
本当は一緒に喜びたかった。今までよく頑張ったなって、褒めてほしかった。
あなたと別れてから何度も寂しさを感じてきたけれど、今が一番、鏡太郎さんに会いたい――。