冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
せっかく拭っても涙がどんどん湧いてきてしまって、思わず手のひらで顔を覆う。
お父さんのことを全力で喜びたいのに、なんでだろう。今ここに鏡太郎さんがいたらって、不可能なことを願ってしまう。
洟を啜って震える吐息をこぼしたその時、部屋のチャイムが鳴った。
こんな顔じゃ来客の対応なんてできないよ……。
そう思いつつも、キッチンにあるインターホンのモニターを確認しに立ち上がる。
画面に映っていた人物の顔を見て、ぞくりと寒気が走った。
「なん、で……?」
その美しい女性は、鏡太郎さんのパートナーである検察事務官の舞鶴さんだった。
権藤と一緒に私をバーに呼び出し、私を脅してまで鏡太郎さんと別れるように迫ってきた危険な人。なにが目的でここへ来たのかは知らないが、出るわけにはいかない。
無視をして彼女が去るのを待ったが、舞鶴さんは何度もしつこくチャイムを鳴らした。
そのうち、開が目覚めて「ふえぇっ」と泣き出す。つられたように結もぐずり始め、あっという間にふたりの大合唱が始まってしまう。
ふたりを抱き上げようとベッドに駆け寄ると、今度はドアを激しく叩かれた。
「いるんでしょ!? 開けなさいよ! アンタと神馬検事のせいで私まで怪しまれてるのよ! 責任取りなさいよ!」
その声が怖くて、私まで泣きたくなってくる。
でも、鍵さえ開けなければ入って来られることはないはず……。