冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
ふたりを庇うような姿勢で息を殺す。それでもドアを叩く音がやまないのでギュッと目を閉じた瞬間――。
「――なにをしている!」
ドアの外で、愛しい人の声が聞こえた。
鏡太郎、さん……?
声の後、激しい物音がしたので、思わず彼が心配になった。
「ごめん……ちょっと、待っててね」
連れて行くと危険があるかもしれないので、ぐずっている双子をその場に残し、私はそっと玄関のドアを開けた。
すると目のまえで鏡太郎さんは舞鶴さんの手を後ろに捻り上げ、取り押さえていた。抵抗されたのか、鏡太郎さんの頬に引っ掻かれたような傷がある。
「鏡太郎さん……」
「騒がせてすまないな、琴里。じきに警察が来るから、きみは子どもたちのそばへ」
「は、はい」
聴きたいことがたくさんあったけれど、とりあえず言われた通りすぐに室内に戻る。寝起きの双子の機嫌が落ち着いた頃にパトカーの音がした。
玄関からそっと外を伺うと、警官がふてくされた舞鶴さんを複数人で押さえ、連行していった。鏡太郎さんもその後に続いて帰ろうとしていたので、私はとっさに呼び止める。
「あの、鏡太郎さん……!」
スーツ姿の彼が振り向き、目が合う。
呼び止めたはいいがなにを言おうか考えていなかったので、焦りつつ口を開いた。
「頬の傷……大丈夫、ですか?」
「ああ、別にこれくらいただの擦り傷だ」
彼がそう言ってふっと笑うと、また話が途切れる。このままだと彼が帰ってしまう。
むしろそれでいいはずなのに、心が彼を引き留めたがっていた。
「よかったら……っ。手当て、させてください」
「琴里……いいのか?」
彼が驚いたように目を見開く。迷いもあったけれど、助けてくれたお礼もしたかったので、私はこくんと頷いて、鏡太郎さんを部屋の中に招き入れた。