冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「汚いですけど、適当に座ってください」
鏡太郎さんは「ああ」と言いつつ、すぐには座らず吸い寄せられるようにベビーベッドの方へ近づく。突然知らない人が現れたからか、双子は揃ってまん丸の目で彼を見つめた。
「んまー」
「だー、んー」
ふたりとも、最近上手になった喃語を駆使しておしゃべりをしている。
鏡太郎さんは笑うでもなく、真剣に開と唯を見つめていた。もしかしたら、自分の面影があるかどうか確かめているのかもしれない。……なにか気づかれたら困る。
「鏡太郎さん、座ってくれないと傷に届きません」
手当の準備をして、彼に声をかけた。
ようやくソファに腰を下ろした彼の隣に座り、濡らしたガーゼで患部を軽く綺麗にする。それから引っ掻き傷を覆うように絆創膏を貼った。
「……ありがとう」
「いえ。大したことは全然……」
小さな怪我なのであっという間に手当てが終わってしまって、逆に気まずくなる。鏡太郎さんがジッと私を見つめていることに気づいて、遠慮がちに視線を合わせた。
「もう一度聞く。あの子たちの父親は……?」
心を覗くような眼差しに、胸が苦しくなる。だけど、言えない。
さっき舞鶴さんが突然やってきたのも、私と鏡太郎さんがまだ繋がっているものと勘違いしていたから、再び警告しに来たのだと思えてならなかった。
そのせいで、鏡太郎さんはまた怪我をしてしまった……。