冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「私から話すことはありません」
「琴里……。意地を張らないでくれ。舞鶴があんな風に自棄になっていたのは、権藤検事正の権力が失墜したからだ。ふたりとも今は警察の厄介になっているし、これから長い時間をかけて彼らが重ねてきた罪の追及が始まる。もう警戒する必要はない」
「えっ……?」
確かに舞鶴さんは様子がおかしかったけれど、彼女だけでなく権藤も警察に?
私には自分の権力についてあんなに自信たっぷりに語っていたのに。
でも、そういえばさっき見たニュース……。
「東京地検の不祥事がどうとかって、もしかしてそのことですか……?」
「ああ、すでに知っていたか。あの検事正が簡単に口を割るとは思えないが、言い逃れできない証拠が揃っている。――きみのお父さんの事件についてもだ」
鏡太郎さんは改まった口調でそう言った。重要な話だと察して、ごくりと喉が鳴る。
「権藤はきみのお父さんに罪を着せ、真犯人が罪から逃れられるよう手助けをしていた。検事でありながら、事実を捏造していたんだ。俺は今日、それを伝えるためにここを訪れた」
そこに、偶然舞鶴さんがいたということなのだろう。鏡太郎さんが来てくれなかったらどうなっていたか。
でも、私が鏡太郎さんと別れる時に残した手紙には、事件のことはもう調べなくていいと書いたはずだったのに……。