冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「開、たぶん卵焼きが欲しいんだと思う。今できるからちょっと待ってー」
そうか、おにぎりじゃなかったのか……。
仕方なく自分の口に放り込んだところで、てとてと床を歩いてきた唯が俺の脚にしがみついてきた。
「結、どうし――」
見下ろした結の顔には、赤いクレヨンでピエロのような落書きがされていた。
いったいいつ? クレヨンなんてさっきまで出してなかったのに、この一瞬でどうしてそうなるんだ?
脳内でパニックになった俺が固まっていると、ニッと笑った結が、俺のズボンの裾に顔を擦りつける。
「おい、ちょっと……それは待ってくれ、結っ」
慌てる俺の横で、開は地団太を踏む。
「まんま! まんまぁ!」
もはやカオスである。少々意識が飛びそうになったその時、インターホンが鳴って俺は現実に引き戻された。
琴里が対応すると、お義父さんと弓弦くんが一緒に来たようだった。
俺は結を洗面所に連れて行き、急いで派手なクレヨンメイクを落とした。
「お邪魔しまーす。おお、開も結もおっきくなったなぁ」
弓弦くんは赤ちゃんの頃から彼らを世話しているので、抱っこも慣れたものである。
それに対し、琴里の父は遠慮がちにふたりの孫を見るにとどめている。
彼を椅子に案内すると、琴里がその正面に座った。