冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す
「刑務所を出られたとしても、お前たちがもう立派に独立して生きているのを遠くから応援するだけでいいと思っていたけど、孫の顔を見るってこんなにうれしいものなんだな……これからも時々、顔を見に来ていいか?」
琴里の父が、遠慮がちに俺たち夫婦の反応を伺う。俺は琴里と目を合わせ、もちろんという風に頷いた。
「当たり前じゃない。そうだ、子どもたちがもう少し大きくなったらピアノを教えてよ」
「ピアノか……もうずいぶん弾いてないが」
琴里の提案に、自信なさげに首を傾げるお父さん。今は生活のために別の仕事をしているようだが、そういえば元々の職業は調律師だったな。
「それいいじゃん。〝じいじカッコいい!〟ってなるよ、たぶん」
弓弦くんが目を輝かせて賛同する。
「そうか……ちょっと、練習してみるか……」
琴里の父はまんざらでもなさそうな顔で、テーブルをピアノに見立て指を動かす。
家族との再会を経て、これから生きていくうえでの楽しみもいくつか見つかったよう。
琴里も弓弦くんもそのことが本人以上に嬉しそうで、俺まで温かい気持ちを分けてもらった。