冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

 そうして宴もたけなわの頃、司会者のアナウンスで琴里のお父さん、そして開と結が、ピアノの連弾で俺たちの結婚を祝ってくれると告げられる。

「なにか練習してるのは知ってましたけど……まさか、三人で連弾するなんて」

 注目を浴びた三人は、丁寧にお辞儀をしてピアノの前の椅子に座る。琴里のお父さんを挟むようにして左に開、右に結。

 彼らは視線を合わせ、鍵盤に指を置いた。息ぴったりに始まった演奏は、結婚式では定番のクラシック曲。ひとりによる演奏よりも音が複雑で、厚みと迫力のある演奏だった。

 真剣な目をした子どもたちは、よく見ると楽譜も見ないで演奏している。

 まだ三歳なのに、暗譜で演奏できるとは……将来はピアニストか?なんて、親バカな思考を抱いてしまう。

「……すごい」

 その声に反応して横を向くと、琴里は目に涙をためて、父親と子どもたちの演奏を見守っていた。

 お父さんを含めた家族がそろってこの日を迎えられたのが、琴里にとってはこの上なく嬉しいことなのだろう。そう思うと俺まで目頭が熱くなった。

「琴里……幸せか?」
「はい。とっても」

 演奏の邪魔にならないよう小声で囁き合った後は、彼女と寄り添って再び演奏に聞き惚れる。

 三人のピアニストが演奏を終えると、会場からは惜しみのない拍手が送られた。

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