冷酷検事は揺るがぬ愛で契約妻を双子ごと取り戻す

「ただいま。冷房つけていいっていつも言ってるのに」

 部屋に上がるとすぐにリモコンで冷房をつける。短時間で冷えるよう、低めの温度にした。

 弓弦は今気づいたというように、穏やかに笑う。優しげな垂れ目は父譲りだ。

「おかえり。勉強集中してたから暑いの気になんなかったよ。でも俺、汗ヤバいな。シャワー浴びてくる」

 気にならないなんて……この猛暑でそんなわけないのに。

 思わずぐっと胸が詰まるが、私たち姉弟の人生の目標は同じ。生活が少し苦しくても、弁護士になって父を助けるためだったら耐えられる。

 弓弦だってきっとそう思っているはずだから、あえてなにも言わない。

「うん、さっぱりしておいで。お腹はすいてる?」
「そうでもない。暑いから素麺とかでいーよ」

 私の返事を待たず、弓弦は着替えを取りに自室へと引っ込む。

 また遠慮からの発言だろうけど、育ち盛りの高校生男子の夕食が素麺だけっていうのはさすがにまずいだろう。

 主食は素麺でいいとしても、冷凍唐揚げをつけよう。買い置きしていたのがあったはずだ。

 冷凍庫を覗いたら目的の唐揚げと、その隣には偶然塩サバが入っていた。思わず食堂での神馬さんとのやり取りが頭に浮かんで、小さなイライラが再燃しそうになる。

 ……やめやめ、家にいるときまで大嫌いな検事のこと考える必要ないよ。

 いったん冷凍庫を閉じ冷静になろうとするも、なんだかモヤモヤした。

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