君の鼓動を、もう一度
悠斗SIDE

 運動会の会場は熱気に包まれ、クラスごとの応援が盛り上がっている。

 「美咲、どうしているかな…」

 無意識に呟きながら、悠斗は会場を歩いていた。すると、ふと目に入ったのは、クラス対抗リレーのスタートラインで並んでいる美咲の姿だった。

 「えっ……!」

 悠斗は驚いて足を止めた。その瞬間、目の前の美咲が、ぎこちない様子で立っているのが見えた。
 「何で…? まさか、出るつもりだったのか…?」

 驚きとともに、胸が一気に高鳴る。
 「どうして、こんなことを…?」

 その時、美咲がリレーのバトンを受け取り、走り出す姿を目撃した。悠斗は一瞬、息を呑んだ。
 彼女の足取りは少し不安定で、何か無理をしているように見えた。その瞬間、悠斗の心臓が激しく鼓動を打ち始めた。

 「だめだ、止めなきゃ…!」

 だが、彼はその場から動けなかった。周りの生徒たちが応援の声を上げている中、彼だけが静かに美咲を見つめていた。その目が、ますます不安を募らせる。

 美咲はどんどん加速し、リレーのコースを走り抜けていた。しかし、悠斗はその表情にどこか不安を感じていた。
 「頼む、無理しないでくれ…」

 そして、次の瞬間、美咲が一瞬ふらつき、足を滑らせて倒れそうになった。悠斗はその瞬間、心臓が止まったような感覚を覚え、思わず足を速めた。
 「美咲っ!」

 目の前で彼女が倒れそうになったその瞬間、悠斗はとっさに駆け寄り、彼女を支えようとした。
 しかし、美咲はすぐに立ち上がり、何事もなかったかのように走り続ける。

 悠斗はほっと一息つきながらも、すぐに顔をしかめる。
 「本当に無理しないで…」

 その後、リレーの終わりまで、美咲の姿を見つめることしかできなかった。悠斗はその間、ずっと心の中で美咲のことを心配していた。
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