君の鼓動を、もう一度
美咲が走り去ったあと、悠斗は何度も周囲を探した。グラウンドの裏、体育館の陰、校舎の非常階段——でも見つからない。
胸の奥がざわついていた。怒りの余韻じゃない。恐怖。美咲がまたあのときのように、何かを諦めてしまうんじゃないかという不安。
そして——
見つけたのは、旧校舎の裏手の小さなベンチ。誰も通らないような場所で、美咲はうずくまるように座っていた。肩が小さく震えていた。
「……美咲」
名前を呼ぶと、彼女は顔を上げた。目の周りが赤く、頬には涙の跡。
「……なんで、来たの」
「探したに決まってるだろ。お前が……いなくなって、心臓が潰れそうだった」
「……怒ってたくせに」
「怒ってたよ。……でもそれ以上に、怖かったんだ。お前がまた、全部投げ出しそうで」
美咲は唇を噛み、顔をそむけた。
「……走ったの、後悔はしてない。あの瞬間、ちゃんと生きてるって思えた。でも……悠斗にそんな顔されるなら、やっぱり……やらなきゃよかったのかなって……思って……」
悠斗はゆっくりと彼女に近づき、しゃがんで目線を合わせた。
「……お前が笑ってるのが、何より嬉しい。だけど、失うのが一番怖いんだ。だから……もう二度と、走らない。何があっても、俺がそばにいるから」
その言葉に、美咲の目から新しい涙が零れた。
「……ごめん。ごめんなさい、悠斗……」
彼女の手をそっと取り、握りしめる。
「謝るな。無茶はするな。俺の大切な人なんだから……」
美咲は小さく頷いた。静かな場所に、二人の呼吸だけが響いていた。
胸の奥がざわついていた。怒りの余韻じゃない。恐怖。美咲がまたあのときのように、何かを諦めてしまうんじゃないかという不安。
そして——
見つけたのは、旧校舎の裏手の小さなベンチ。誰も通らないような場所で、美咲はうずくまるように座っていた。肩が小さく震えていた。
「……美咲」
名前を呼ぶと、彼女は顔を上げた。目の周りが赤く、頬には涙の跡。
「……なんで、来たの」
「探したに決まってるだろ。お前が……いなくなって、心臓が潰れそうだった」
「……怒ってたくせに」
「怒ってたよ。……でもそれ以上に、怖かったんだ。お前がまた、全部投げ出しそうで」
美咲は唇を噛み、顔をそむけた。
「……走ったの、後悔はしてない。あの瞬間、ちゃんと生きてるって思えた。でも……悠斗にそんな顔されるなら、やっぱり……やらなきゃよかったのかなって……思って……」
悠斗はゆっくりと彼女に近づき、しゃがんで目線を合わせた。
「……お前が笑ってるのが、何より嬉しい。だけど、失うのが一番怖いんだ。だから……もう二度と、走らない。何があっても、俺がそばにいるから」
その言葉に、美咲の目から新しい涙が零れた。
「……ごめん。ごめんなさい、悠斗……」
彼女の手をそっと取り、握りしめる。
「謝るな。無茶はするな。俺の大切な人なんだから……」
美咲は小さく頷いた。静かな場所に、二人の呼吸だけが響いていた。