君の鼓動を、もう一度
休日の午前、街はのどかで、美咲が乗ったバスも特別な空気はない。
ゼミの友達からのグループチャットには、
「もうすぐ着くよー」「館内カフェで集合ね」なんて、他愛もないメッセージが並んでいた。
「……ほんとに、普通の日だなあ」
窓の外を流れる景色を眺めながら、ふと呟く。
心臓の鼓動は安定していて、少し肌寒い春風すら心地よく感じる。
だが、異変は突然だった。
――ギイッ。
バスが交差点で止まった瞬間、前方ドアが開き、数人の男が乗り込んできた。
「……え?」
男たちは黒いキャップとサングラスにマスク姿。
一人が車内中央に立ち、大声を張り上げる。
「全員、動くな! 静かにしろ! これは──バスジャックだ」
その声と同時に、後方にいた乗客の一人が突き飛ばされる。
小さな悲鳴。車内が一気に凍りつく。
「は……?」
美咲は一瞬、現実が理解できなかった。
でも、目の前で起きているのは、ニュースでしか見たことのない“事件”だった。
「携帯は全て回収する! 座ってろ!」
男のひとりが前から順に乗客の携帯を取り上げていく。
美咲も抵抗できず、震える手でスマホを差し出す。悠斗の名前が表示された通知が、指の隙間から消えていった。
「お願い……これ、夢であって」
鼓動が、少しずつ早くなる。
呼吸が浅くなるのを自覚しながらも、深く息を吐いた。
落ち着かなきゃ、何かあっても耐えられるように。
ゼミの友達からのグループチャットには、
「もうすぐ着くよー」「館内カフェで集合ね」なんて、他愛もないメッセージが並んでいた。
「……ほんとに、普通の日だなあ」
窓の外を流れる景色を眺めながら、ふと呟く。
心臓の鼓動は安定していて、少し肌寒い春風すら心地よく感じる。
だが、異変は突然だった。
――ギイッ。
バスが交差点で止まった瞬間、前方ドアが開き、数人の男が乗り込んできた。
「……え?」
男たちは黒いキャップとサングラスにマスク姿。
一人が車内中央に立ち、大声を張り上げる。
「全員、動くな! 静かにしろ! これは──バスジャックだ」
その声と同時に、後方にいた乗客の一人が突き飛ばされる。
小さな悲鳴。車内が一気に凍りつく。
「は……?」
美咲は一瞬、現実が理解できなかった。
でも、目の前で起きているのは、ニュースでしか見たことのない“事件”だった。
「携帯は全て回収する! 座ってろ!」
男のひとりが前から順に乗客の携帯を取り上げていく。
美咲も抵抗できず、震える手でスマホを差し出す。悠斗の名前が表示された通知が、指の隙間から消えていった。
「お願い……これ、夢であって」
鼓動が、少しずつ早くなる。
呼吸が浅くなるのを自覚しながらも、深く息を吐いた。
落ち着かなきゃ、何かあっても耐えられるように。