君の鼓動を、もう一度
「静かにしてろって言ってんだろうがッ!!」
怒鳴り声と共に、鈍い音が響いた。誰かが殴られたのだと、美咲は咄嗟に顔を伏せる。
拳銃を握った男たちがバスの前後を固め、乗客たちは座席に押し込められていた。

「ぜ、ぜえ……っ、ごほ、ごほっ……」
後方の方で、年配の女性が呼吸を乱し、酸素が足りないのか、胸を押さえて震えていた。

(過呼吸……? このままだと……)

美咲は思わず動こうとしかけたが、隣のゼミの子に手首を引かれて踏みとどまった。
「だめ……下手に動いたら、撃たれる……!」

緊張感が張り詰める中、若い男性が突然立ち上がった。
「こんなのおかしいだろ! 俺たちをどうするつもりなんだよ! ふざけ――」

パンッ!!

乾いた音が響いた瞬間、車内は絶叫に包まれた。
弾は壁に当たっただけだったが、暴れた男は押さえつけられ、顔を何度も殴られる。

美咲は唇を強く噛みしめた。
自分の胸も、呼吸が浅くなり始めていた。
(落ち着いて……呼吸、整えて……大丈夫、大丈夫……)

意識を失ったら、終わりだ――
自分が倒れても、助けられる医者はいない。
(悠斗先生……私、まだ……)

「誰だ、泣いてんのは……! 静かにしろって言っただろ!!」

怒鳴り声に体を縮めながらも、美咲は拳をぎゅっと握った。
早く――誰か、来て。
でも同時に、願っていた。
悠斗には知られたくない、と。
あんな顔、もうさせたくない。泣かせたくない――
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