冷血CEOにバツイチの私が愛されるわけがない~偽りの関係のはずが独占愛を貫かれて~
「……これ」
薔薇の中から出てきたのは、重厚なレッドカラーのリングケース。
「開けてみて」
裕翔さんに見守られて、リングケースの上部をそっと開く。
中には大粒のダイヤモンドのマリッジリングリングが入っていた。
「知花、改めて……結婚してほしい」
まったく予告のないサプライズに、驚くことも追いつかない。
ただ、陽の光に煌めくマリッジリングを見つめ、裕翔さんの顔を見上げる。
「裕翔さん……」
こんな夢みたいなプロポーズ、自分がしてもらえるなんて思いもしなかった。
「はい。不束者ですが、末永くよろしくお願いします」
裕翔さんが花束ごと私を抱き寄せる。
そして、私の手にあるケースからエンゲージリングを取り出し、左手の薬指にはめていった。
「すごい、ぴったり」
「こっそりサイズを測ったからな。知花の寝ている間に」
「そうだったんですか? ぜんぜんわからなかった」
気づけば周辺で私たちのことを見守っている人たちもいて、小さく拍手も聞こえてくる。
裕翔さんは「行こうか」と言って花束を持つ手と反対の手で私の腰に腕を回した。
「あの、半休を取ってというのは……?」
「今日は、知花の行きたいところに行こう。どこでも連れて行く」
「え、本当ですか?」
一度結婚に失敗して、この先の人生ひとりきりで歩んでいくと思っていた。
もう恋なんてすることない、誰かを好きになることなんてない。
そう思っていた私の凍てついた心を、優しさと温かさで包み込んで溶かしてくれた人。
「どこに行こうか、知花」
彼に出会い、こうして結ばれた幸せを命ある限り感じていきたい。
私を真っ直ぐに見てくれるその眼差しに心からそう願った。
*Fin*


