白い結婚なんて絶対に認めません! ~政略で嫁いだ王女は甘い夜を過ごしたい~【全年齢版】
シーツに包まってアルバートを待っていると、ずいぶんと遅い時間に姿を見せた。国内の重要貴族への面通しを兼ねた挨拶を済ませれば初夜の準備をするだけのプリムローズとは違って、アルバートはさらに貴賓の相手など色々と公務があったのだろう。華やかな場の直後だというのに大変なことだ。
それをプリムローズは手伝えない。手伝って欲しいとも頼られない。婚姻初日にして早くもその事実を寂しく思った。
(――あ)
違和感を覚え、その正体にすぐに気がつく。
アルバートは結婚式の後、煌びやかな婚礼衣装から着替えて賓客たちに改めて挨拶をしに行った。落ち着いた輝きを放つ金色の髪を後ろに撫でつけて整え、衣装も別れた時のままだ。湯浴みをした気配もない。
(ううん。お忙しかったから、お一人になってすぐに寝室に来て下さったのだわ)
プリムローズがそうしたように、寝室の奥にあるバスルームを使うのだろう。
そういうことなのだと結論づけてシーツから出た。
「アルバート様、このような日でもお役目大変お疲れ様でございました」
プリムローズを見て、ベッドの端に腰を下ろしたアルバートはあきらかにぎょっとしたような表情を浮かべる。すぐに視線を背け、大きな咳払いをした。
「お気遣いありがとうございます。早速ですが姫、あなたにお伝えしなければならないことがあります」
「な、何でしょうか」
改まった雰囲気に姿勢を正して次の言葉を待つ。
これから朝までずっと離さないとか、そういうことだろうか。
甘い夜の訪れを想像すると頬が熱を帯び、胸が高鳴った。
本に書かれた内容を懸命に思い出し、その通りに上手くできるだろうかと不安も芽生えはじめて来る。
だけど。
「私と姫の結婚は、ただの政略目的です。ですから私は姫と夫婦の契りを交わすつもりはありません。姫は清い身体のまま、一年経ったらフィラグランテへとお帰りいただくつもりでいます」
「え……」
それをプリムローズは手伝えない。手伝って欲しいとも頼られない。婚姻初日にして早くもその事実を寂しく思った。
(――あ)
違和感を覚え、その正体にすぐに気がつく。
アルバートは結婚式の後、煌びやかな婚礼衣装から着替えて賓客たちに改めて挨拶をしに行った。落ち着いた輝きを放つ金色の髪を後ろに撫でつけて整え、衣装も別れた時のままだ。湯浴みをした気配もない。
(ううん。お忙しかったから、お一人になってすぐに寝室に来て下さったのだわ)
プリムローズがそうしたように、寝室の奥にあるバスルームを使うのだろう。
そういうことなのだと結論づけてシーツから出た。
「アルバート様、このような日でもお役目大変お疲れ様でございました」
プリムローズを見て、ベッドの端に腰を下ろしたアルバートはあきらかにぎょっとしたような表情を浮かべる。すぐに視線を背け、大きな咳払いをした。
「お気遣いありがとうございます。早速ですが姫、あなたにお伝えしなければならないことがあります」
「な、何でしょうか」
改まった雰囲気に姿勢を正して次の言葉を待つ。
これから朝までずっと離さないとか、そういうことだろうか。
甘い夜の訪れを想像すると頬が熱を帯び、胸が高鳴った。
本に書かれた内容を懸命に思い出し、その通りに上手くできるだろうかと不安も芽生えはじめて来る。
だけど。
「私と姫の結婚は、ただの政略目的です。ですから私は姫と夫婦の契りを交わすつもりはありません。姫は清い身体のまま、一年経ったらフィラグランテへとお帰りいただくつもりでいます」
「え……」