お嬢様、庭に恋をしました。
ニヤけてるって、言われたくなかった
「ねえ舞花、最近さ──」
「なに?」
食後、リビングでお茶を飲んでいた舞花に、
妹・梨花が顔をじっと覗き込んできた。
「顔……ゆるくない?」
「ゆるくない」
「いや絶対ゆるい。ていうか“ニヤけてる”」
「ニヤけてないから!?」
慌ててカップで口元を隠す。
でも確かに、思い返していた。
さっき庭で悠人と話した、ほんの数分のことを。
「……てかさ、もしかして、
お庭の人と……いい感じだったりする?」
「ぶっ!?」
コーヒー吹きかけかけて、慌ててハンカチで口を押さえる。
「な、なにその想像力!?ないから!ないないない!」
「そんな慌てる? わっかりやす!」
「はー……もう、梨花うるさい」
顔を逸らしてソファに沈み込む舞花に、梨花は腕を組んでにやにや。
「ふーん。でもまあ、悪くないかもね。
庭師さんってことは、誠実そうだし、筋肉あるし」
「そこ見る?」
「大事でしょ!筋肉と誠実さって恋愛の基盤よ」
「なんの持論なのそれ……」
そこへ、母がふらりと台所からやってくる。
「舞花、お茶のおかわり……あら、顔赤いわよ?熱?」
「ちがう!お風呂上がりだから!ほてってるだけ!」
「……もしかして、恋?」
「母までやめてー!!」
「“庭師の椎名さん”、いい方じゃない。静かで落ち着いてて」
「名前覚えてるのやめて!!恥ずかしい!!」
「いいじゃない。推しが現実に現れたってやつ?」
「推しっていうか……いや、ちがうし!!」
「そのわりに、庭出るとき服ちょい選んでない?」
「はっ!?選んでないしっ!!気温の問題!」
「“恋する気温差スタイリング”ね?」
「やめてーーーー!!!」
ふたりの視線が刺さる中、
舞花は耐えきれず席を立った。
でも、部屋に戻ったあと──
鏡を見たら、自分でもわかった。
(……ほんとだ、ちょっとニヤけてる)
だれかに何かを言われる前に、
自分の気持ちに向き合った方が早いのかもしれない。
それくらいにはもう、“椎名さん”のことが、
生活の中に入り込んできていた。
──少しずつ、
でも確実に、“好き”が染み込んできてる。
「なに?」
食後、リビングでお茶を飲んでいた舞花に、
妹・梨花が顔をじっと覗き込んできた。
「顔……ゆるくない?」
「ゆるくない」
「いや絶対ゆるい。ていうか“ニヤけてる”」
「ニヤけてないから!?」
慌ててカップで口元を隠す。
でも確かに、思い返していた。
さっき庭で悠人と話した、ほんの数分のことを。
「……てかさ、もしかして、
お庭の人と……いい感じだったりする?」
「ぶっ!?」
コーヒー吹きかけかけて、慌ててハンカチで口を押さえる。
「な、なにその想像力!?ないから!ないないない!」
「そんな慌てる? わっかりやす!」
「はー……もう、梨花うるさい」
顔を逸らしてソファに沈み込む舞花に、梨花は腕を組んでにやにや。
「ふーん。でもまあ、悪くないかもね。
庭師さんってことは、誠実そうだし、筋肉あるし」
「そこ見る?」
「大事でしょ!筋肉と誠実さって恋愛の基盤よ」
「なんの持論なのそれ……」
そこへ、母がふらりと台所からやってくる。
「舞花、お茶のおかわり……あら、顔赤いわよ?熱?」
「ちがう!お風呂上がりだから!ほてってるだけ!」
「……もしかして、恋?」
「母までやめてー!!」
「“庭師の椎名さん”、いい方じゃない。静かで落ち着いてて」
「名前覚えてるのやめて!!恥ずかしい!!」
「いいじゃない。推しが現実に現れたってやつ?」
「推しっていうか……いや、ちがうし!!」
「そのわりに、庭出るとき服ちょい選んでない?」
「はっ!?選んでないしっ!!気温の問題!」
「“恋する気温差スタイリング”ね?」
「やめてーーーー!!!」
ふたりの視線が刺さる中、
舞花は耐えきれず席を立った。
でも、部屋に戻ったあと──
鏡を見たら、自分でもわかった。
(……ほんとだ、ちょっとニヤけてる)
だれかに何かを言われる前に、
自分の気持ちに向き合った方が早いのかもしれない。
それくらいにはもう、“椎名さん”のことが、
生活の中に入り込んできていた。
──少しずつ、
でも確実に、“好き”が染み込んできてる。