【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。
交番の中――
夜の帳がゆっくりと下りてくる外の景色とは裏腹に、
蛍光灯の白い光が、どこか静かで落ち着いた空気を作っていた。
長谷川は、交番の奥にあったパイプ椅子を美香奈の前に引き寄せ、
そっと座らせると、すぐに箱ティッシュを取り出して差し出した。
「……それで、神谷さんが仕事で缶詰で、会えていなくて寂しいと?」
優しい口調でそう聞かれ、美香奈はティッシュを手にしながら、こくこくと頷く。
目元はまだ赤く、涙の跡がほのかに残っていたけれど――
誰かにちゃんと気持ちを聞いてもらえたことが、少しだけ彼女をほぐした。
すると、長谷川が急に少し姿勢を正しながら言った。
「……僕も、泣いていいですか!」
「……えっ?」
思わず驚いた美香奈がティッシュを持ったまま目を丸くすると、
長谷川は続けざまに、まるで噴き出すように一気にまくしたてた。
「いやだって、僕なんか、神谷さんがいなくなってから交番の業務量めちゃくちゃ増えてて、
毎日残業で、唯一いい感じだった女の子にも“忙しい人は無理”って振られて、
神谷さんと橋口さんが愛し合ってるであろう時間帯にも、
僕は酔っ払いのおじさんをベンチに寝かせて毛布かけてたり、
駅前で喧嘩してるカップルの仲裁してたりとか、そんなのばっかりですよ!
もちろんそれが仕事ですけど、でもでも、
“自分がいないことで泣いてくれる彼女がいる”
神谷さん、羨ましすぎて……正直、むかつきます!!」
最後の一言まで言い切ると、長谷川はふうっと肩で息を吐いた。
一瞬、交番の中がしんと静まり返る――
そして、
美香奈は――ぷっ、と小さく噴き出したかと思えば、
「……ふふっ、あははっ……!」と、とうとう我慢しきれずに吹き出して笑った。
「なにそれ……長谷川さん、ほんと、正直すぎて……面白い……!」
美香奈の笑い声が、蛍光灯の下にやさしく広がった。
さっきまであんなに重たかった胸の奥が、少しだけ、軽くなったような気がしていた。
夜の帳がゆっくりと下りてくる外の景色とは裏腹に、
蛍光灯の白い光が、どこか静かで落ち着いた空気を作っていた。
長谷川は、交番の奥にあったパイプ椅子を美香奈の前に引き寄せ、
そっと座らせると、すぐに箱ティッシュを取り出して差し出した。
「……それで、神谷さんが仕事で缶詰で、会えていなくて寂しいと?」
優しい口調でそう聞かれ、美香奈はティッシュを手にしながら、こくこくと頷く。
目元はまだ赤く、涙の跡がほのかに残っていたけれど――
誰かにちゃんと気持ちを聞いてもらえたことが、少しだけ彼女をほぐした。
すると、長谷川が急に少し姿勢を正しながら言った。
「……僕も、泣いていいですか!」
「……えっ?」
思わず驚いた美香奈がティッシュを持ったまま目を丸くすると、
長谷川は続けざまに、まるで噴き出すように一気にまくしたてた。
「いやだって、僕なんか、神谷さんがいなくなってから交番の業務量めちゃくちゃ増えてて、
毎日残業で、唯一いい感じだった女の子にも“忙しい人は無理”って振られて、
神谷さんと橋口さんが愛し合ってるであろう時間帯にも、
僕は酔っ払いのおじさんをベンチに寝かせて毛布かけてたり、
駅前で喧嘩してるカップルの仲裁してたりとか、そんなのばっかりですよ!
もちろんそれが仕事ですけど、でもでも、
“自分がいないことで泣いてくれる彼女がいる”
神谷さん、羨ましすぎて……正直、むかつきます!!」
最後の一言まで言い切ると、長谷川はふうっと肩で息を吐いた。
一瞬、交番の中がしんと静まり返る――
そして、
美香奈は――ぷっ、と小さく噴き出したかと思えば、
「……ふふっ、あははっ……!」と、とうとう我慢しきれずに吹き出して笑った。
「なにそれ……長谷川さん、ほんと、正直すぎて……面白い……!」
美香奈の笑い声が、蛍光灯の下にやさしく広がった。
さっきまであんなに重たかった胸の奥が、少しだけ、軽くなったような気がしていた。