【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。
「涼介くん、もっと私に甘えてもいいんだよ?」

その言葉に、涼介は少し目を開けて、驚いたように彼女を見つめた。

「私はいつも、たくさん甘えさせてもらってるから。だから、たくさんお返ししたいの」

涼介は無言で彼女の言葉を受け入れたが、次の瞬間、ふっと口元が緩んだ。

「……じゃあ、俺のこと褒めて」

その提案に、美香奈は少し驚きながらも、すぐに彼の冗談だろうと笑った。

「褒めてほしいの?」

涼介は頷き、少し恥ずかしそうに口を開いた。

「うん。警察官としての優秀さとか、逮捕術の洗練さ、判断の速さ、全部褒めてくれ」

美香奈はそのお願いに、少し笑ってしまう。涼介は普段、誰かに褒められることを嫌うタイプだと思っていたけれど、今の彼はまるで子供のように素直に頼んでいる。

「本当に、子供みたい」

美香奈はクスリと笑いながら、涼介の髪を再び撫でる手を止めて、真剣な表情で彼を見つめた。

「涼介くん、警察官としてはもちろん、ものすごく優秀だし、どんな状況でも冷静に判断を下せるし、逮捕術も本当に洗練されている。あなたのその速さと確実さには、いつも感心しているよ」

涼介はその言葉に、少し照れたように目を逸らし、頬をほんのり赤らめた。彼がこうして照れる姿は、まるで少年のようで、美香奈の心はさらに温かくなる。

「でも、それだけじゃない。あなたは、誰よりも人を大切に思っているし、何よりも強い優しさを持っている。それが、私にとっては一番大切なところなんだよ」

涼介は微かに目を開けて、少しずつ顔をほころばせた。その様子に、美香奈は嬉しくなって、さらに手のひらで彼の髪を撫で続ける。

「……ありがとう」

涼介は小さく、照れ隠しのようにその言葉を漏らした。無理に冷静を保とうとする彼に、ふと愛おしさがこみ上げてくる。

「そんなに照れなくても、私は本当にそう思ってるんだよ」

美香奈は涼介の頭をそっと抱きしめるようにして、優しく髪を撫でた。涼介もその手のひらにすっかり身を委ね、しばらく黙ったまま目を閉じた。

その瞬間、美香奈は涼介がこんなにも無防備に自分に甘えてくれることが、どれだけ特別なことなのかを実感し、心の中でそっと思った。

これからも、ずっとこうして二人でお互いを支え合い、甘え合う時間を大切にしよう――そう心に誓いながら、美香奈は涼介の髪に再び指を滑らせた。
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