【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
応接室の空気が少し緩んだ。
一ノ瀬はふっと笑みを浮かべながら、茶目っ気のある声で言った。
「……俺はな、策士だからな。お前はまんまとハマったよ」
航太は思わず眉をひそめ、「どういうことですか?」と目を見開く。
一ノ瀬は愉快そうに口角を上げた。
「あんな豪華な“株主優待”があると思うか? “パシフィックビーナス”の最上ランクのスイートルームに、専属給仕付きのフルコースフレンチ、スパ、エステ、船上プールとバーまで使い放題……若者が偶然もらえるもんじゃない」
航太はハッとしたように表情を引き締めた。
「……まさか、あれは」
「俺がポケットマネーで出したんだよ。直接くれてやったら、紗良は“気持ちが重い”とか言って嫌がるからな。優待ってことにしとけば、納得するだろ?」
航太は黙って頭を下げた。
「……ありがとうございます。そこまでしていただけるとは思いませんでした」
一ノ瀬は少し遠くを見るような目をした。
「俺はね、親として……ただ、娘に幸せになってほしいんだ。それだけなんだよ」
少し照れたように笑いながら、一ノ瀬は続ける。
「君になら、任せてもいいと思ってる。航太くん、あの子を、頼むよ」
航太は、言葉にならない思いを胸に、深く、深く頭を下げた。
一ノ瀬はふっと笑みを浮かべながら、茶目っ気のある声で言った。
「……俺はな、策士だからな。お前はまんまとハマったよ」
航太は思わず眉をひそめ、「どういうことですか?」と目を見開く。
一ノ瀬は愉快そうに口角を上げた。
「あんな豪華な“株主優待”があると思うか? “パシフィックビーナス”の最上ランクのスイートルームに、専属給仕付きのフルコースフレンチ、スパ、エステ、船上プールとバーまで使い放題……若者が偶然もらえるもんじゃない」
航太はハッとしたように表情を引き締めた。
「……まさか、あれは」
「俺がポケットマネーで出したんだよ。直接くれてやったら、紗良は“気持ちが重い”とか言って嫌がるからな。優待ってことにしとけば、納得するだろ?」
航太は黙って頭を下げた。
「……ありがとうございます。そこまでしていただけるとは思いませんでした」
一ノ瀬は少し遠くを見るような目をした。
「俺はね、親として……ただ、娘に幸せになってほしいんだ。それだけなんだよ」
少し照れたように笑いながら、一ノ瀬は続ける。
「君になら、任せてもいいと思ってる。航太くん、あの子を、頼むよ」
航太は、言葉にならない思いを胸に、深く、深く頭を下げた。