【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
夜のとばりが海に落ち、船内は煌びやかな光に包まれていた。
ディナータイム、紗良と航太は「メートル・ドテル」と名乗るスタッフに呼び止められた。
「おふたりのお部屋にて、特別なディナーをご用意しております。ご案内いたします」
紗良は航太の腕に手を回し、柔らかな笑みを浮かべながら「お願いします」と応じた。
航太は黙って頷きながら、なにかを覚悟しているようにその手を強く握り返す。
案内されたスイートルームは、船の船首寄りに位置する“グランド・オーシャン・スイート”。
床から天井まで届くガラス窓からは、夜の海と星々が望め、波の静かなうねりがゆったりと反射している。
重厚な大理石のダイニングテーブルには、白いリネンのクロスが敷かれ、金縁のプレートとクリスタルグラスが整然と並べられていた。
紗良が席に着くと、手袋をしたギャルソンが静かにサービスを始める。
前菜は「オマール海老とキャビアのアミューズ・ブーシュ」
──シトラスの香りが軽やかに立ち上る。
続いて、温前菜には「フォアグラのポワレ ポルト酒のソース」、
メインは「国産牛フィレ肉のロッシーニ風 トリュフソース添え」。
全てに緻密な盛り付けと、芸術品のような彩りが施されていた。
航太がグラスの水を口に含みながら紗良を見ると、紗良は皿を前にきらきらと目を輝かせていた。
「ねえ、これ全部、本当に私たちのためなの?」
と笑う紗良に、航太は小さく息を呑む。
その笑顔を見るたび、彼は強く思うのだった。
“今夜、この人にすべてを伝えよう”と。
──リングがポケットの中で、静かに待っていた。
ディナータイム、紗良と航太は「メートル・ドテル」と名乗るスタッフに呼び止められた。
「おふたりのお部屋にて、特別なディナーをご用意しております。ご案内いたします」
紗良は航太の腕に手を回し、柔らかな笑みを浮かべながら「お願いします」と応じた。
航太は黙って頷きながら、なにかを覚悟しているようにその手を強く握り返す。
案内されたスイートルームは、船の船首寄りに位置する“グランド・オーシャン・スイート”。
床から天井まで届くガラス窓からは、夜の海と星々が望め、波の静かなうねりがゆったりと反射している。
重厚な大理石のダイニングテーブルには、白いリネンのクロスが敷かれ、金縁のプレートとクリスタルグラスが整然と並べられていた。
紗良が席に着くと、手袋をしたギャルソンが静かにサービスを始める。
前菜は「オマール海老とキャビアのアミューズ・ブーシュ」
──シトラスの香りが軽やかに立ち上る。
続いて、温前菜には「フォアグラのポワレ ポルト酒のソース」、
メインは「国産牛フィレ肉のロッシーニ風 トリュフソース添え」。
全てに緻密な盛り付けと、芸術品のような彩りが施されていた。
航太がグラスの水を口に含みながら紗良を見ると、紗良は皿を前にきらきらと目を輝かせていた。
「ねえ、これ全部、本当に私たちのためなの?」
と笑う紗良に、航太は小さく息を呑む。
その笑顔を見るたび、彼は強く思うのだった。
“今夜、この人にすべてを伝えよう”と。
──リングがポケットの中で、静かに待っていた。