【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
その日の夕方。
リビングに差し込むオレンジ色の夕陽がカーテン越しに広がるころ、紗良はすっかりいつもの調子を取り戻していた。
とはいえ、体温計はまだ37.3℃。
それでも、朝までのぐったり感はどこへやら、顔色もよく、瞳には力が戻っている。
「ナイスレシーブ!」
ソファに座ったまま、ブランケットを腰に巻いた姿でテレビを凝視しながら、思わず叫ぶ。
テレビでは、女子バレーボール日本代表が中国と白熱した試合を繰り広げていた。
セットカウント1-1、第三セットの中盤、エースがスパイクを決めるたびに、紗良は手を叩きながら体を前のめりにしていた。
「今の!見た!? クロスに打ったよ、すごい角度だったよね!?」
と、料理中の航太にキッチンから話しかけると、
航太は「はいはい、興奮しすぎてまた熱上がるよ」と苦笑しながらフライパンを揺らした。
「大丈夫だもん、熱さえなきゃ私、ほぼ全快だから!」
と言って、次のプレーに目を戻す紗良。
バレーボールを観ながら、手には温かいハーブティー。
口には、さっき航太が買ってきたイチゴゼリーの甘酸っぱい味がまだ残っていた。
思えば、こんな風に“何もない日常”をふたりで過ごせることが、どれだけ幸せか。
紗良はテレビに夢中になりながらも、航太がキッチンで動いている音が、妙に心地よく感じていた。
このまま何もありませんように――そう願いたくなるような、穏やかで甘い、夕暮れだった。
リビングに差し込むオレンジ色の夕陽がカーテン越しに広がるころ、紗良はすっかりいつもの調子を取り戻していた。
とはいえ、体温計はまだ37.3℃。
それでも、朝までのぐったり感はどこへやら、顔色もよく、瞳には力が戻っている。
「ナイスレシーブ!」
ソファに座ったまま、ブランケットを腰に巻いた姿でテレビを凝視しながら、思わず叫ぶ。
テレビでは、女子バレーボール日本代表が中国と白熱した試合を繰り広げていた。
セットカウント1-1、第三セットの中盤、エースがスパイクを決めるたびに、紗良は手を叩きながら体を前のめりにしていた。
「今の!見た!? クロスに打ったよ、すごい角度だったよね!?」
と、料理中の航太にキッチンから話しかけると、
航太は「はいはい、興奮しすぎてまた熱上がるよ」と苦笑しながらフライパンを揺らした。
「大丈夫だもん、熱さえなきゃ私、ほぼ全快だから!」
と言って、次のプレーに目を戻す紗良。
バレーボールを観ながら、手には温かいハーブティー。
口には、さっき航太が買ってきたイチゴゼリーの甘酸っぱい味がまだ残っていた。
思えば、こんな風に“何もない日常”をふたりで過ごせることが、どれだけ幸せか。
紗良はテレビに夢中になりながらも、航太がキッチンで動いている音が、妙に心地よく感じていた。
このまま何もありませんように――そう願いたくなるような、穏やかで甘い、夕暮れだった。