【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
紗良の身体を優しく揺らしながら、「紗良、起きて。俺だよ」と呼びかけると、瞼がゆっくりと開いた。
焦点が合うまでに少し時間がかかり、その目は熱のせいで潤んでいる。
「あ……航太くん……おかえり……」
真っ赤な顔に、ふにゃりと笑みを浮かべる紗良。
「なんで電気もつけずに、熱測りもしないで寝てたんだ」
声はいつになく低く、けれど責めるよりも不安と心配が滲んでいた。
紗良は寝返りもうまく打てないまま、熱に浮かされたような口調で言った。
「午前中までは元気だったんだけど……なんか、仕事してたら腰痛くなってきて、だるいなぁって思って……帰ってきたら、いつの間にか寝てた……」
「熱、測った?」
首を横に振る。
「測ってない……たぶんちょっと高いかも」
そう言って、ひと呼吸置いてから「あ、ご飯作んなきゃ」なんて呟く。
その言葉に、航太は眉をひそめる。
「お前、今何言った?」
「だって、おかえりだし……お腹すいてないかなって……」
目はとろんとしているのに、笑って立ち上がろうとする。
その瞬間、航太はベッドの端に腰掛けて、紗良の肩をしっかりと押しとどめた。
「いいから寝てろ。俺に任せろ」
「でも……」と反論しようとする唇に、指をそっとあてる。
「俺がいない間、無理して頑張ってたの、見なくてもわかる。今日はもう、何もしなくていい」
優しく、でも一切の譲歩を許さない声。
「……わかった」
紗良はようやく観念して、ベッドに体を預ける。
航太は体温計を脇に挟ませながら、冷えピタを冷蔵庫から取り出し、そっと額に貼った。
熱は38.5度。インフルではなさそうだが、油断はできない。
「水分、ちゃんと摂って。ポカリ、あるから」
そう言ってストローを挿したボトルを口元へ運ぶと、紗良はおとなしく飲み、やっと少し安心したように目を閉じた。
ふと、その寝顔を見つめながら航太は小さく息をつく。
「こんな時くらい、ちゃんと俺を頼れっての」
独り言のように呟いて、彼女の髪をそっと撫でた。
焦点が合うまでに少し時間がかかり、その目は熱のせいで潤んでいる。
「あ……航太くん……おかえり……」
真っ赤な顔に、ふにゃりと笑みを浮かべる紗良。
「なんで電気もつけずに、熱測りもしないで寝てたんだ」
声はいつになく低く、けれど責めるよりも不安と心配が滲んでいた。
紗良は寝返りもうまく打てないまま、熱に浮かされたような口調で言った。
「午前中までは元気だったんだけど……なんか、仕事してたら腰痛くなってきて、だるいなぁって思って……帰ってきたら、いつの間にか寝てた……」
「熱、測った?」
首を横に振る。
「測ってない……たぶんちょっと高いかも」
そう言って、ひと呼吸置いてから「あ、ご飯作んなきゃ」なんて呟く。
その言葉に、航太は眉をひそめる。
「お前、今何言った?」
「だって、おかえりだし……お腹すいてないかなって……」
目はとろんとしているのに、笑って立ち上がろうとする。
その瞬間、航太はベッドの端に腰掛けて、紗良の肩をしっかりと押しとどめた。
「いいから寝てろ。俺に任せろ」
「でも……」と反論しようとする唇に、指をそっとあてる。
「俺がいない間、無理して頑張ってたの、見なくてもわかる。今日はもう、何もしなくていい」
優しく、でも一切の譲歩を許さない声。
「……わかった」
紗良はようやく観念して、ベッドに体を預ける。
航太は体温計を脇に挟ませながら、冷えピタを冷蔵庫から取り出し、そっと額に貼った。
熱は38.5度。インフルではなさそうだが、油断はできない。
「水分、ちゃんと摂って。ポカリ、あるから」
そう言ってストローを挿したボトルを口元へ運ぶと、紗良はおとなしく飲み、やっと少し安心したように目を閉じた。
ふと、その寝顔を見つめながら航太は小さく息をつく。
「こんな時くらい、ちゃんと俺を頼れっての」
独り言のように呟いて、彼女の髪をそっと撫でた。