【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
紗良はそっと体を起こすと、航太の膝の上に向き合うように腰を下ろした。

ふわりとスカートの裾が舞い、ほんのり甘い香りが漂う。
航太が驚く間もなく、紗良は両手で航太の頬を優しく包み込むと、迷いのない動きで彼の唇にキスを落とした。

一度。
もう一度。
何度も、何度も。

それは航太がいつもしてくれるようなキスのかたちを真似たものだった。
でも、どこかぎこちなくて、不器用で、だからこそ愛おしく感じられるキス。

航太はもう、完全に崩壊していた。
理性の名残がわずかに揺らめいているだけで、身体は動かない。
ただ、そっと手をのばし、紗良の背中に触れた。

抱きしめるのではなく、支えるように。
彼女の体温を感じるためだけの、優しい接触。

キスを続ける紗良の目は、とろりと潤んでいた。
何も言葉は交わさず、ただ時間が、甘く、静かに流れていく。
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