【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
午後の大臣執務室。
分厚い資料を机に広げ、一ノ瀬岳は次の新人議員向け勉強会のテーマに頭を悩ませていた。
財政・安全保障・人口減少――
どれも急務だが、どう切り口を示せば若い議員たちの視野を広げられるか。
手を止めて、椅子にもたれかかる。
そのとき、ポーンとLINEの通知音が鳴った。
ちらりと画面を見ると、差出人は「紗良」。
「……珍しいな」
ぽつりと呟きながらスマートフォンを手に取る。
娘からの連絡はそう頻繁ではない。
既読すら付かない日だって珍しくない娘だ。
なのに、今回は驚くほど長文のメッセージが届いていた。
「……なんだこれは、目がチカチカするな」
苦笑しながら老眼鏡を取り出し、鼻にかけると、さらにスマホを少し腕いっぱいに離してみる。
画面に並ぶ細かい文字が、ようやく読めるレベルに変わった。
部屋の端で控えていた警護官の遠藤が、不思議そうにそれを横目で見ていた。
一ノ瀬は老眼鏡越しに彼を見やって、軽く笑う。
「お前もな、いつかこうなるぞ。娘からの連絡にメガネかけて、画面離して読む日が来る」
「……私はまだ……」
遠藤は少しばつが悪そうに笑って、そっと視線を逸らした。
一ノ瀬は鼻で笑いながら、改めて紗良からのメッセージに視線を戻す。
分厚い資料を机に広げ、一ノ瀬岳は次の新人議員向け勉強会のテーマに頭を悩ませていた。
財政・安全保障・人口減少――
どれも急務だが、どう切り口を示せば若い議員たちの視野を広げられるか。
手を止めて、椅子にもたれかかる。
そのとき、ポーンとLINEの通知音が鳴った。
ちらりと画面を見ると、差出人は「紗良」。
「……珍しいな」
ぽつりと呟きながらスマートフォンを手に取る。
娘からの連絡はそう頻繁ではない。
既読すら付かない日だって珍しくない娘だ。
なのに、今回は驚くほど長文のメッセージが届いていた。
「……なんだこれは、目がチカチカするな」
苦笑しながら老眼鏡を取り出し、鼻にかけると、さらにスマホを少し腕いっぱいに離してみる。
画面に並ぶ細かい文字が、ようやく読めるレベルに変わった。
部屋の端で控えていた警護官の遠藤が、不思議そうにそれを横目で見ていた。
一ノ瀬は老眼鏡越しに彼を見やって、軽く笑う。
「お前もな、いつかこうなるぞ。娘からの連絡にメガネかけて、画面離して読む日が来る」
「……私はまだ……」
遠藤は少しばつが悪そうに笑って、そっと視線を逸らした。
一ノ瀬は鼻で笑いながら、改めて紗良からのメッセージに視線を戻す。