【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
「お父さん、ごめん、いきなりこんなメッセージ。
ちょっとだけ、お願いしたいことがあるの。
最近になって、自分でも気づいてたけど無視してきた症状……熱が定期的に出るの。
昔からだったけど、改めて調べると『周期性発熱症候群』っていう病気かもしれないって。
詳しく検査を受けたいと思ってるんだけど、該当しそうな専門の先生が限られていて、東都医大の鶴田悠真先生の名前が出てきたの。だけど、鶴田先生の研究室は今、患者の新規受付も問い合わせも全部ストップしてるみたいで……。
お父さん、鶴田先生って同じ政党から出馬してたよね?
なにか繋がりがあるなら、どうか、お願い。
一度だけでいいから、診てもらえるように橋渡ししてもらえないかな。
私は大丈夫。だけど、橘さんがすごく真剣に動いてくれてて……。
私の体調のこと、全部把握して、一番に考えてくれてるの。彼がいなかったら、私は今もただの風邪ってごまかしてた。
最後に、橘さんからのメッセージを転送するね。」
⸻
その名が現れた瞬間、一ノ瀬の指が止まった。
“橘”。
紗良がかつて警護対象として守られていたSP、橘航太。
そして、今は娘の恋人。娘の人生に深く関わる男。
岳はゆっくりと息を吐き、スマホを置いた。
「……思い立ったら吉日だ。よし直接話を聞こう」
そう呟くと、すぐそばに控える遠藤に目を向ける。
「遠藤。橘君に連絡を取ってくれ。今日、執務室で少し時間を取りたい。なるべく早く来てもらえるように」
「承知しました」
父として、政治家として、そして――
大切な娘が選んだ男に会うために。
一ノ瀬岳は、静かに背筋を伸ばした。
ちょっとだけ、お願いしたいことがあるの。
最近になって、自分でも気づいてたけど無視してきた症状……熱が定期的に出るの。
昔からだったけど、改めて調べると『周期性発熱症候群』っていう病気かもしれないって。
詳しく検査を受けたいと思ってるんだけど、該当しそうな専門の先生が限られていて、東都医大の鶴田悠真先生の名前が出てきたの。だけど、鶴田先生の研究室は今、患者の新規受付も問い合わせも全部ストップしてるみたいで……。
お父さん、鶴田先生って同じ政党から出馬してたよね?
なにか繋がりがあるなら、どうか、お願い。
一度だけでいいから、診てもらえるように橋渡ししてもらえないかな。
私は大丈夫。だけど、橘さんがすごく真剣に動いてくれてて……。
私の体調のこと、全部把握して、一番に考えてくれてるの。彼がいなかったら、私は今もただの風邪ってごまかしてた。
最後に、橘さんからのメッセージを転送するね。」
⸻
その名が現れた瞬間、一ノ瀬の指が止まった。
“橘”。
紗良がかつて警護対象として守られていたSP、橘航太。
そして、今は娘の恋人。娘の人生に深く関わる男。
岳はゆっくりと息を吐き、スマホを置いた。
「……思い立ったら吉日だ。よし直接話を聞こう」
そう呟くと、すぐそばに控える遠藤に目を向ける。
「遠藤。橘君に連絡を取ってくれ。今日、執務室で少し時間を取りたい。なるべく早く来てもらえるように」
「承知しました」
父として、政治家として、そして――
大切な娘が選んだ男に会うために。
一ノ瀬岳は、静かに背筋を伸ばした。