【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
航太がドアを開けて「ただいま」と言うと、室内にふわっと広がる出汁と野菜の香りが鼻をくすぐった。
「お、鍋か。ラッキー。俺が英才教育しただけのことはあるな」
そう言って航太が靴を脱ぎながら笑うと、キッチンから顔を出した紗良がにこっと笑って返す。
「そうだよ、今日寒いもんね。あったかいのが食べたくて」
「着替えておいでー、ごはんすぐ食べられるよ」
促されて、航太は寝室へ向かいスーツを脱ぎ、リラックスした部屋着に着替える。
その間にも、ダイニングでは紗良が小皿や取り皿を並べていた。
ふと、航太の視線が紗良の仕草にとまる。
トレーを持ち上げながら、彼女がさりげなく腰に手を当てているのが見えた。
「……紗良、腰痛いの?」
ダイニングの椅子に腰を下ろしながらそう訊くと、
「んー、今日は来客が多くて、ほとんどずっと座りっぱなしでさ」
紗良は笑って答えるが、その言葉と裏腹に、動きはどこかぎこちない。
航太は目を細めて、彼女の様子を観察する。
それ以上は何も言わず、鍋の蓋を開けて中を覗いた。
「美味そう……よし、俺がよそってやる。座ってて」
「え、いいよ、全然大丈夫――」
「はい、座る」
いつもの、静かながらも有無を言わせない口調。
紗良は苦笑して椅子に座り、心の中で——ほんと、こういうとこずるいんだから——と呟いた。
「お、鍋か。ラッキー。俺が英才教育しただけのことはあるな」
そう言って航太が靴を脱ぎながら笑うと、キッチンから顔を出した紗良がにこっと笑って返す。
「そうだよ、今日寒いもんね。あったかいのが食べたくて」
「着替えておいでー、ごはんすぐ食べられるよ」
促されて、航太は寝室へ向かいスーツを脱ぎ、リラックスした部屋着に着替える。
その間にも、ダイニングでは紗良が小皿や取り皿を並べていた。
ふと、航太の視線が紗良の仕草にとまる。
トレーを持ち上げながら、彼女がさりげなく腰に手を当てているのが見えた。
「……紗良、腰痛いの?」
ダイニングの椅子に腰を下ろしながらそう訊くと、
「んー、今日は来客が多くて、ほとんどずっと座りっぱなしでさ」
紗良は笑って答えるが、その言葉と裏腹に、動きはどこかぎこちない。
航太は目を細めて、彼女の様子を観察する。
それ以上は何も言わず、鍋の蓋を開けて中を覗いた。
「美味そう……よし、俺がよそってやる。座ってて」
「え、いいよ、全然大丈夫――」
「はい、座る」
いつもの、静かながらも有無を言わせない口調。
紗良は苦笑して椅子に座り、心の中で——ほんと、こういうとこずるいんだから——と呟いた。