【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
しばらくして、足音も控えめに、紗良がトボトボとダイニングに現れた。
体の重さがまだ残っているのか、少しだけ背中が丸まって見える。
「……ご飯は?」
かすれた声でそう言った紗良に、航太はほっとしたように微笑む。
「少し食べる?」
「うん……ちょっとなら」
テーブルの上には、すでに湯気の立つお粥が用意されていた。
おかずも何も添えていない、シンプルなお粥。けれどその分、航太の心配りがにじんでいる。
スプーンを渡すと、紗良はそれを受け取り、しばらくじっと宙を見つめたまま――動かない。
「……」
黙っていた航太が、スプーンをそっと取り返し、やさしくお粥をすくって、紗良の口元へ差し出す。
「あーん」
どこか冗談めかして言うと、紗良はぽかんとした顔で見上げ、子どものようにパクッと食べた。
「食欲はあるんだな」
「うん。……熱以外は正常だもん」
口元に笑みを浮かべながら、紗良はゆっくりそう答える。
お粥を半分ほど食べ終えると、少し顔に血色が戻ってきたようにも見えた。
「病院行く? 今日から1週間、俺休みだから付き添えるよ」
そう言った航太に、紗良はうらやましそうに目を細める。
「いいなあ……お休み……」
「風邪で寝込んでる人に言われると複雑なんだけど」
航太が苦笑すると、紗良もふっと笑って、またスプーンを一口口に運ぶ。
ふたりだけの静かな朝。
熱があっても、そばにいるだけで、少しずつ心が温かくなるような空気が流れていた。
体の重さがまだ残っているのか、少しだけ背中が丸まって見える。
「……ご飯は?」
かすれた声でそう言った紗良に、航太はほっとしたように微笑む。
「少し食べる?」
「うん……ちょっとなら」
テーブルの上には、すでに湯気の立つお粥が用意されていた。
おかずも何も添えていない、シンプルなお粥。けれどその分、航太の心配りがにじんでいる。
スプーンを渡すと、紗良はそれを受け取り、しばらくじっと宙を見つめたまま――動かない。
「……」
黙っていた航太が、スプーンをそっと取り返し、やさしくお粥をすくって、紗良の口元へ差し出す。
「あーん」
どこか冗談めかして言うと、紗良はぽかんとした顔で見上げ、子どものようにパクッと食べた。
「食欲はあるんだな」
「うん。……熱以外は正常だもん」
口元に笑みを浮かべながら、紗良はゆっくりそう答える。
お粥を半分ほど食べ終えると、少し顔に血色が戻ってきたようにも見えた。
「病院行く? 今日から1週間、俺休みだから付き添えるよ」
そう言った航太に、紗良はうらやましそうに目を細める。
「いいなあ……お休み……」
「風邪で寝込んでる人に言われると複雑なんだけど」
航太が苦笑すると、紗良もふっと笑って、またスプーンを一口口に運ぶ。
ふたりだけの静かな朝。
熱があっても、そばにいるだけで、少しずつ心が温かくなるような空気が流れていた。