【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
長方形のテーブルを囲んで、審査官5人と橘・松浦が着席する。
それぞれの手元には、候補者たちの評価シートが並んでいた。

「全体的に、今年は粒が揃っていた印象ですね」
と山根が言うと、小野寺も頷いた。

「特に三浦君は将来有望だと思います。粗さはあるけど、現場向きの感覚がある」

松浦は資料を見ながら、やや厳しい口調で言った。

「逆に、佐伯はどうです? 技術はあるけど、感情のコントロールがまだ甘い。群衆対応で口調が強すぎたのが気になります」

坂井が手を組みながら考え込む。
「現場に出していいのは、そこを弁えた者だけだ。訓練ではよくても、本番では警護対象に不安を与える可能性がある」

橘が口を開く。
「補助要員としての役割なら、制限つきでの現場経験もアリだと思います。フォロー体制を敷いた上での話ですが」

城田は全員の意見を聞きながら、一人ひとりの評価表にチェックを入れていった。

「三浦、古谷、上杉、佐伯、青山……後ろ2名は条件付きで合格とする。
そのうち三浦は重点警護チームの下に優先的に配属する方向で異論ないか?」

全員が頷く。

「では、正式に通達しよう。橘、松浦、合格者に発表を」

橘は短く「了解」とだけ答え、資料をまとめて立ち上がった。

静かな協議室に、次の現場を担う新しい力の芽が、確かに認められた瞬間だった。
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