【番外編】SP 橘は、“甘やかし専門医”です
訓練場に隣接した講義室。
無機質な長机と、並んで座る数人の候補者たち。
汗の跡が残るシャツ、噛み締めたような表情──誰もが静かに結果を待っていた。

やがて扉が開き、橘と松浦が揃って入ってくる。
背後には、審査官たちの姿も見えた。

橘は手元の資料を確認し、無駄のない足取りで前へ進むと、講義台の前で立ち止まる。

「これより、警護実務者・最終実技審査の合格者を発表する」

声が室内に響いた瞬間、全員の背筋がすっと伸びる。

橘は一枚一枚、ゆっくりと名を読み上げていく。

「三浦翔太」
一瞬、息を呑む音が聞こえた。三浦は軽く目を閉じ、静かにうなずいた。

「佐伯真奈」
「古谷亮」
「上杉直樹」
「青山宏輝」

5名の名前が告げられたところで、橘は目を上げる。

「以上の者を、正式に警護補助要員として採用する。今後は実地配属に向けたOJT(現場訓練)と各警備案件への帯同が始まる。気を緩めるな」

松浦が後に続く。

「合格できなかった者も、実力がないわけじゃない。今回はあくまで警護実務に向けた選抜。今後の研修次第では再チャレンジの道もある。気持ちを切らさず、続けてほしい」

少しだけどよめいた空気の中、それでも全員が立ち上がり、深く一礼をした。

合格した者も、そうでない者も、静かな拍手の音の中で、それぞれの胸に次の目標を刻んでいた。
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