私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「無詠唱で転移魔法を使うなんて……! さすがはエルネット様だ!」

 同僚は転移魔法を使って現場にやってきた瞬間、そう私を褒め称えた。
 魔法を使う際、普通は長ったらしい呪文を唱える必要があるからだろう。

 この程度で驚いたら、このあと失神しちゃうんじゃない? 大丈夫かなー。

 私は一抹の不安を感じながらも。
 必死に黒魔術の進行を食い止めようと手を尽くす、仲間の元へ向かった。

「お待たせー!」
「挨拶などいい! 早く解呪せんか!」
「もう、せっかちなんだから……。状況報告くらい、ちゃんとしてよね!」

 そんな余裕もないくらい、強い魔法なんだろうけどさ。
 ーー私くらいの手練になれば? 報告なんて受けなくても、状況は把握できるからね。
 ホウレンソウをすっ飛ばされたのはーー信頼の証ってことで、許してあげる。

「はいはい。退いた、退いたー」

 ラボの仲間達に一声かけてから。
 彼らを押し退け、中央で倒れ伏す被害者の姿を確認した。

「う、ぅうう……」

 呻き声を上げて苦しむ男性は黒い靄に覆われ、今にも呪い殺されそうな危機的状況にあった。
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