私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 あの日、エルネットと出会ってから。
 俺は寝ても覚めても、彼女のことしか考えられなくなっていた。

 ――もっと力をつけなければ。
 あいつよりも有能だと証明さえできれば。
 皇太子の座とエルネットは、俺だけのものになるはずだ。

 煩悩を振り払い、自らの腕も鍛えられる。
 一石二鳥の訓練に勤しんでいた俺は――愛する少女の隣に佇む忌まわしき存在が現れたと気づき、喉元へ剣を突きつけた。

「わっ。あ、危な……!」
「帰れ」

 本気であいつの命を奪うつもりはなかったが――エルネットは身の危険を感じたからだろう。
 彼女は魔術障壁を展開し、兄を庇った。

 ――少女にとってはそれが、当たり前の行動でも。
 俺にとっては、それがエルネットからの拒絶にしか思えず……。

「貴様らは自分達がどれほど恵まれているか、理解していないからそんなことが言えるんだ」

 彼女に裏切られたと感じてしまう。
 ますます少女に嫌われると、わかっていても。
 自身がどれほど不幸な境遇に置かれているか、説明するのを止められなかった。
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