私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「離せ……っ!」

 アルベールに対する憎悪を隠すことなくぶつけた俺を見かねて、エルネットが俺の手を掴んだ。
 それを咄嗟に跳ね除けた結果――俺は愛する彼女を、土の上に突き飛ばしてしまった。

「エルネット!」

 違う。俺はあの子を、傷つけたいわけじゃなかった。
 守りたかった。自分だけのものにしたかっただけなのに。
 彼女の名前を呼んで、寄り添うことを許されたのは、アルベールだけで――。

「俺は、悪くない……!」

 こんなふうに、本心とは真逆の態度をとってしまう自分が大嫌いだ。
 消えるべきは、邪魔な存在は、俺のほうだった。
 許してくれなんて言葉一つで愛してもらえれば、苦労はしない。

 ――誰でもいいから、助けてほしかった。

 俺を見てほしい。肯定してほしい。
 なのにどうして、俺はいつも――。

「うん! こんなの、全然へっちゃらだよ! 驚かせてごめんね?」

 素直な気持ちを伝えられないのだろうか。
 そんな、自己嫌悪に陥っていれば。
 アルベールの手を借りずにスクリと立ち上がったエルネットは、俺に向かって笑顔を浮かべた。
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