私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 ――まるで、気にしてないとでも言うように。

「な、なんなんだ……。貴様は、一体……」

 あり得ない出来事が、目の前で起きていた。
 本来であれば彼女は、もう二度と俺の顔など見たくもないと、怒り狂ってもおかしくなかったのに。
 あの子はキラキラと光り輝く笑顔を浮かべながら、俺に手を差し伸べてきた。

「未来の天才魔術師! エルネット・ヨトシーハだよ! これからよろしくね!」

 ――俺のような卑しい想いを抱えた人間にも、今までと同じように接してくる。
 あの子はきっと、泥の中に飛び込んでも。
 ケラケラと大笑いして楽しめるほど、強い女性に成長するだろう。

 この子ならば、きっと。
 俺のすべてを受け止めてくれる。

「ふん……っ。誰が貴様のような世間知らずと、交流を深めるものか!」

 そう確信を得た俺は、どこまでなら許されるのか――試してみた。

「やっほー!」

 三か月後は無視。

「ほんと、強情」
「黙れ」

 六か月後には、そう吐き捨て。

「早くデレてくれないと、ほんとに会いに来るのを止めちゃうぞー」
「失せろ。この自意識過剰女が……」

 九か月後には、罵倒。
 それでも彼女は、俺に手を差し伸べるのをやめない。
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