私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「迷惑だと言っている。それを受け入れなかった、貴様が悪い」

 何もかもが嫌になって、普段どおりに吐き捨てれば。
 さすがの彼女も、ようやく俺が嫌っていると自覚したらしい。

「本気で嫌がっているなら、もう辞めるね」

 普段の明るさは鳴りを潜め、明らかに傷ついた顔をしたエルネットは、今にも泣きそうにオレンジ色の瞳を潤ませて俯いた。

 ――そんな彼女がかわいらしくて。
 食べてしまいたいと思った時点で、俺はもう、壊れていたのだろう。

 あの子に対する歪な愛は、この1年間を通じて――大輪の花を咲かせた。

「この程度で謝罪をして身を引くくらいなら、最初から手を差し伸べるな」

 ――やっぱり、あの子を遠ざけるなんて無理だった。
 何を犠牲にしても、俺のものにしたい。
 みっともなく縋っても。
 エルネットに変な人だと蔑まれても、構わなかった。
 それであの子の注意を引けるのならば。
 俺は道化にでもなんでも、なってやる。
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